「筋トレは魔法じゃない!」ってホント?筋トレのデメリットについて

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筋力トレーニングさえしていれば太らないし免疫力もアップして健康でいられる! 今や老若男女を問わず筋トレブーム。「ちょっと待って!筋トレは魔法じゃないですよ!」と フィットアゴー!の開発者である川人将裕さんが警鐘を鳴らします。
「筋トレのメリットはたくさんありますが、重大なデメリットもあります。それは動脈硬化を促進することです」。今回は、筋トレと動脈硬化の関係、安心・安全な予防法を川人さんに伺いました。


川人 将裕(かわひと まさひろ)

フィットアゴー!開発総指揮。世界クラスのアスリートも担当するトップトレーナー。筋トレ後の縄跳びは必須。


筋トレで血圧が高い状態が続くと動脈硬化が促進 

動脈硬化は日本人の死因の上位を占める心臓病や脳卒中を引き起こす、血管の病的な状態。肥満や運動不足などによって引き起こされるといわれていますが、なぜ筋トレで動脈硬化が促進するのでしょうか? 

動脈硬化は肥満や喫煙、過度な飲酒、運動不足などの危険因子が重なると、血管の壁に老廃物が付着して厚くなったり、硬くなったりして、働きが悪くなってしまいます。一方、筋トレで動脈硬化を促進されてしまう原因は、高血圧状態が続くことです。 

筋トレを頑張りすぎると、気づかないうちに無呼吸状態になり、血圧が上がります。人によっては、通常の血圧の2倍に上昇します。血圧が高くなると、血管が傷つきやすくなり、傷を修復する過程で血管の壁が厚く、硬くなっていきます。これが高血圧による動脈硬化です。

特に、高強度の筋トレだけを続けていると、長期的に動脈硬化を促進している可能性があります。 

特にどんな人に注意が必要ですか? 

息を止めるぐらい負荷が高い筋トレをしている人です。特に、自己流で筋トレをしている人は、重量を上げることがモチベーションになりがちです。負荷をどんどんかけていく人は要注意。

健康に良いとすすめられているスクワットも使う筋肉が多いので、少しでも負荷をかけると血圧は上がりやすくなります。

また、適度な休憩時間も必要です。種目ごとに少し休む、1分インターバルを取り入れてみてください。いずれにしても、定期的にメニュー作りなどトレーナーなど専門家に相談できる環境づくりが大切です。 

筋トレ後に有酸素運動を10分~15分プラスするだけで予防できる

筋トレによる動脈硬化を予防する方法はありますか?

筋トレ後にじっとしていると、筋肉が硬くなったり、血流が阻害されたりします。 

予防としては、ズバリ!筋トレ後に10分~15分有酸素運動をすることです。 

有酸素運動は動脈が硬くなることを抑制したり、柔らかさを取り戻したりする効果があります。つまり、筋トレと有酸素運動を両方行うことが、最もメリットが大きいのです。

有酸素運動といっても特別なことではなく、ちょっと息が上がるぐらいで大丈夫です。早歩きとか大股歩きなど、笑顔でギリギリ会話はできるけど歌うのは無理という「ニコニコペース」を目安にするとよいでしょう。私は、ちょっときつめですが、縄跳びを3分3セット行っています。 

さらにスロートレーニング(スロトレ)もおすすめです。私が開発したフィットアゴー!も基本的にスロトレの考え方です。 

スロトレとは、軽い負荷をかけた状態でゆっくり筋肉を動かすトレーニング。一番重要なのは筋肉の負荷を1分くらい緩めないことです。軽めの負荷でもゆっくりと動作することで、重い負荷で行う筋トレと同じ効果が得られます。血圧が上がりにくいので年齢を問わずに行えます。 

有酸素運動と組み合わせると、せっかく筋トレでつけた筋肉を燃焼してしまうからと避ける人が多いようですが? 

いえいえ、それは誤解です。筋トレ後に有酸素運動をすると、むしろ脂肪燃焼効率が促進されます。 

筋トレ後は、筋肉の修復のために成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは脂肪を燃焼させる効果があるので、有酸素運動を組み合わせることで動脈硬化の予防だけでなく、脂肪燃焼効率の促進につながります。 

さらに有酸素運動にはメリットがたくさんあり、様々な生活習慣病予防・改善する効果があります。 

有酸素運動(ウオーキング、ランニング、水泳、サイクリング、階段の上り下りなどなど)のメリット 

  • 高血糖の予防改善
  • 脂質異常の予防改善
  • 高血圧の予防改善
  • 動脈硬化の予防改善 
  • 内臓脂肪の減少
  • 皮下脂肪の減少など 

50歳を超えると半数以上が高血圧を発症⁉30代40代から運動で予防しよう 

血圧が高めの人は、筋トレはしない方がいいですか? 

血圧が高めな人には、塩分を控えた食事などの対処とあわせてウオーキングや早歩き、ジョギングなどの有酸素運動が勧められます。血管を柔らかくして血圧を下げる物質が分泌されるからです。しかし、筋肉をつけることも高血圧改善や予防になります。 

筋肉に負荷をかける筋トレが、血圧を下げる物質の分泌を増加することが分かっています。つまり有酸素運動だけでなく、腹筋や背筋、スクワットなど負荷の軽い筋トレやストレッチを加えるとより血圧低下に効果的なのです。ただし、高血圧の症状によって異なりますので、治療中の方はかかりつけ医に相談してから行ってください。 

ちなみに、男女ともに50歳を超えると半数以上が高血圧を発症するといわれていますが、運動で予防できますか? 

サイレントキラーと呼ばれる高血圧は、自覚症状のないまま血管に負担がかかり、動脈硬化が進行します。30代40代から塩分過多な食事や喫煙・飲酒、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣の見直しが大切ですが、なんといっても「筋トレプラス有酸素運動」を習慣にすることをおすすめします。


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