「効率的に筋肉をつけるためには、どんなメニューに取り組んだらいいんだろう?」
フィットネスジムに通う中で、こんな悩みにぶつかっている人がいるのではないでしょうか。
そこでオススメしたいのが“POF法”というトレーニング方法です。3種の負荷のかけ方で筋肉にアプローチすることで筋合成に相乗効果をもたらす、まさにトレーニングのトリプルコンボ! 今やトレーニーの常識とも言えるPOF法のメカニズムとメリットを、フィットアゴー!の開発者である川人将裕と長谷川駿介が解説します。正しい取り組み方を身につけて、ぜひ明日からのトレーニングライフにお役立てください!
川人 将裕(かわひと まさひろ)
フィットアゴー!開発総指揮。元気の源はレッドブル。
長谷川 駿介(はせがわ しゅんすけ)
フィットアゴー!のサービスデザイナー。元気の源は完全メシ。
POF法=3種の負荷のかけ方で1つの筋肉を鍛える方法
トレーニングは一人で気軽に取り組めることが魅力である反面、自分でメニューを立てなければならない点が、知識が乏しい人にとっては課題ですよね。
個人的にはフィットネスジムに通っているだけでも「素晴らしい!」と思わず拍手を贈りたいくらいの気持ちですが(笑)、効率的に鍛えられれば、さらにやりがいを感じられるでしょう。もっとトレーニングを楽しんでもらうために、POF法を知ってもらいたいです。
POFとは、ポジションオブフレックス。一つの部位に対して、異なる負荷の掛け方でアプローチするトレーニング方法ですよね。
まず理解してもらいたいのは、トレーニングによる筋肉への負荷のかけ方は3種に大別できること。筋肉を縮めたとき(収縮時)に最も負荷がかかる「コントラクトレンジ」、筋肉を伸ばしたとき(伸展時)に最も負荷がかかる「ストレッチレンジ」、収縮と伸展の間で最も負荷がかかる「ミッドレンジ」です。
一口にトレーニングと言っても、筋肉へのアプローチ方法はさまざまですね。例えば、バーベルを挙げる過程で負荷がかかるベンチプレスはミッドレンジですよね?
その通りです。「この種目はどれだろう?」と思ったら、最もきついと感じるのがどこかを考えるとわかりやすいと思います。
具体的には、どのようにPOF法に取り組んだら良いのでしょうか?
取り組み方はシンプルです。筋肉の1部位に対して、①ミッドレンジ②ストレッチレンジ③コントラクトレンジの順番で、1種目ずつ間を空けずに連続して行うことがPOF法の手順になります。
とすると……、仮に胸をPOF法で鍛えるなら、ミッドレンジのベンチプレス、ストレッチレンジのダンベルフライ、コントラクトレンジのケーブルクロスオーバーの順に、3種目を行うメニューになりますね!
物理的ストレス×化学的ストレスの相乗効果で筋肥大
3種目も取り組めば確かに鍛えられそうですが、POF法に取り組むことで得られる効果とは、実際にはどんなものなのでしょうか?
私は、筋肥大には物理的ストレスと化学的ストレスが重要で、POF法はこの2つの刺激を効率良く体にかけられる方法だと考えています。
聞きなれない言葉ですが、物理的ストレスとは重さのことでしょうか?
はい。重いものと持つストレス(=負荷)を体に与えることで、それに対応できるようになろうとする反応です。
まさしくバーベルやダンベルを持ち挙げるような、ザ・筋力トレーニングというイメージでわかりやすいですね。興味深いのが、化学的ストレスです。
ストレスによって乳酸などの代謝物を筋肉に滞留させ、成長ホルモンをはじめとする筋肉の成長につながる分泌物を促進させることを、化学的ストレスと呼んでいます。
なるほど。2軸で筋肉が合成されていく仕組みがよくわかりました。
POF法では、この2つのストレスを最適な順番でかけることができるんです。はじめにミッドレンジですが、これを最初に行うことで、より重い重量を持って物理的ストレスを体にかけられます。
まだ疲労していないフレッシュな状態であれば、自分の限界の重さにトライできますね。逆に疲れた状態では重量を挙げられず、効果が下がってしまいそうです。
次に、ストレッチレンジとコントラクトレンジは、化学的ストレスです。まずストレッチレンジは、可動が大きいことで筋肉の使用量も高く、より広範囲の血流を促進できる効果があります。
血流促進によって、負荷をかけることで出てきた分泌物が行き渡りやすくなるんですね。
そして、収縮によって筋肉内の血流を制限するコントラクトレンジを最後に行うことで、充分に行き渡らせた分泌物をギュッと閉じ込めるんです。
分泌して、行き渡らせて、凝縮する! 3種目が全てつながる、まさに相乗効果のトリプルコンボですね。
コンボの効果を逃さないために、テンポよく連続して行うことが大切なんですよ!
鍛える体の部分を日によって変える“分割法”のススメ
複数の部位をバラバラに鍛えるより、POF法で集中して取り組む方が効率的であることは間違いないですが、あとは時間との兼ね合いですね……。
全身の部位をそれぞれPOF法でみっちり鍛えようと思ったら、2時間以上もかかりますからね……(笑)。「全部POF法で!」とは考えず、特に鍛えたいところだけをPOF法で鍛えるのが良いと思います。
POF法とは異なりますが、鍛える部位を日によって分けていく「分割法」の考え方もありますよね。
段階的に分割法を取り入れていくのは良いと思います。ただ、脚を鍛える日、胸を鍛える日、背中を鍛える日……、と分割していったら際限がないので、まずは上半身と下半身でシンプルに割るのがオススメです。
フィットネスジムに週2回通うとして、1回は上半身、もう1回は下半身とする運動習慣ですね。それだけでも、「今日は上半身の日だから、胸だけPOF法でガッツリやろうかな」といった具合に取り入れていけそうです。
効率を追い求めることも大切ですが、一番の優先事項は習慣的に運動すること。POF法は種目選びの一つの選択肢として、続けられる範囲で取り入れてみてください!
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