「短期間でストンとやせられる!」「ごはんやパン、麺類など主食を抜くだけなので簡単」。今や糖質抜きはダイエットの定番。一方で健康を犠牲にする、すぐにリバウンドするなど「糖質制限は危険」と忠告する情報も広がっています。
「せっかくダイエットしているのに、極端に糖質を制限すると太りやすい体になりますよ」とフィットアゴー!の開発者である川人将裕さん。今回は適切な糖質を摂って、やせやすい体をつくる方法を川人さんに伺いました。
川人 将裕(かわひと まさひろ)
フィットアゴー!開発総指揮。世界クラスのアスリートも担当するトップトレーナー。筋トレ前、筋トレ後のおにぎりは欠かしません。
Q&A筋肉量が低下して「太りやすい」に
Q:危険な糖質制限ダイエットとはどんなものですか?
A:脂質やたんぱく質まで減らしたり、糖質を極端に減らすダイエット
たとえば、1日三食ごはんやパスタなどの炭水化物を抜いて、サラダとスープだけにすれば、短期間で体重は激減しますが、これは危険な糖質制限ダイエットです。
正しい糖質制限ダイエットは、食べ物から摂取する3大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)の中から血糖値を上昇させる原因になる「糖質の量」を制限するものです。重要なのは、減らした糖質の代わりに低糖質な脂質やたんぱく質で栄養を補うことです。
ところが、早く減量成果を得たいために脂質やたんぱく質まで減らす人も多く見かけます。これは絶対にNG。また、脂質やたんぱく質を摂取していても糖質を極端に減らすダイエットも間違っています。
こうした糖質制限を続けていると、健康に影響を及ぼす可能性があります。
Q:どんな健康トラブルが起こりますか?
A:頭痛やイライラ・倦怠感、きつい口臭・体臭、便秘、筋肉量低下
糖質は人間が活動するために欠かせない栄養素の一つ。身体や脳を働かせるためのエネルギー源となるほか、身体の修復にも使われます。極端な糖質制限によりエネルギー不足の状態が続くと、様々な健康トラブルが起こります。
主な健康トラブル
- 脳にとって糖質は唯一の栄養源なので、不足すると頭痛やイライラ、倦怠感、集中力低下などが起こります。
- 厳しく糖質を制限していると血液内にケトン体(物酸性質)を生み出し、口臭や体臭がきつくなります。
- 糖質を減らすと短期間で体重が減るのは、脂肪ではなく糖質から摂っていた水分量が減るからです。水分量が減れば便が硬くなり、便秘になります。特に糖質が多い炭水化物には水分も食物繊維も多いので、ごはんなど炭水化物を抜くと便秘が慢性化することも。
- 極端に糖質を減らすと筋肉の分解が起こり、身体にとって減らしたくない筋肉が減ってしまいます。
Q:筋肉量低下の悪影響を教えてください
A:筋肉量が減って太りやすい体に
筋肉は身体を動かすだけでなく、基礎代謝を上げる、血液やリンパの循環を促すなど重要な役割を担っています。ところが30代半ばから毎年0.5%減少していきます。その上、糖質制限を続けていくと、筋肉の減少はより加速します。
糖質を制限しすぎると身体はエネルギー不足になり、脂肪や筋肉を分解してアミノ酸に変えてエネルギーを作り始めます。その結果、筋肉量が減って基礎代謝が低下し、太りやすい体になってしまいます。
糖質+適度な運動習慣でやせやすい体になる!
糖質は生きていく上で必要不可欠な栄養素です。極端な糖質制限により太りやすい体になるだけでなく、エネルギー不足の状態が続くと、体力低下につながり、病気にかかるリスクも高くなるでしょう。エネルギー源である糖質をしっかり摂取しましょう。
さらに適度な運動習慣を組み合わせてやせやすい体を目指しましょう。筋肉はたくさんのカロリーを消費してくれるので、筋肉が多いほど消費カロリーが増えてやせやすくなります。
糖質をきちんと摂って健康でやせやすい体に
糖質をきちんと摂る+適度な運動習慣
↓↓↓
筋肉が増えて、基礎代謝量が高まり消費カロリーUP!
↓↓↓
やせやすい体になる!
実践!こぶし大のおにぎり1個分の糖質+3分全身運動
●糖質をきちんと摂る
適度な糖質とは、基礎代謝量を1日1,500kcalとした場合、最低限必要な糖質量はおよそ100gとされています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」)。基礎代謝量は年齢や体格によって変わります。30代以降ではわかりやすくいうと、自分のこぶし大のおにぎり1個分です。小さめのコンビニおにぎりの糖質は40g程度なので、1日2個分が目安です。
●3分間全身運動エクササイズ
3分間で全身を動かせるエクササイズプログラムを用意しました。種目は「サイドランジ」「レッグカール」「レッグレイズ」の3種目。音楽に合わせて、身体をなるべく大きく動作させながら運動してみましょう!
コメント