子どもの運動機能が低下!?幼児期の運動発達は約2歳遅れている

健康

近年、子どもの体に異変が起きていることをご存じですか?
体を動かす基本動作ができない「子どもロコモ」が問題視されています。ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、寝たきりや介護につながるため高齢者の問題と思われがちです。

しかし、転んでも手が出せず顔面をケガしたり、雑巾がけができないなど運動機能が低下している子どもが増加しているのです。 今回は、「子どもロコモ予防は幼児期から」を推進しているフィットネスキャンプキッズ認定コーチとして活躍中のフィットアゴー!開発者・川人将裕さんにお話を伺いました。


川人 将裕(かわひと まさひろ)

フィットアゴー!開発総指揮。世界クラスのアスリートも担当するトップトレーナー。フィットネスキャンプ講師、フィットネスキャンプキッズ認定コーチとしても活躍中。


運動不足による姿勢不良や肥満・やせすぎで「子どもロコモ」が増加

ここ数年、子どもの体の老人化に似た「子どもロコモ」が増加しているそうですが、なぜでしょうか?

「高齢者のロコモ」は、加齢によるバランス能力の低下、筋力低下、骨や関節の病気が要因です。ロコモが進行すると要介護や寝たきりにつながります。

ロコモティブシンドローム:運動器症候群(通称ロコモ)
体を動かすために必要な運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態。「立つ」「歩く」といった基本的動作が困難となり日常生活に支障をきたしてくる。

一方、子どもロコモは運動不足や食事など生活習慣の乱れによるものです。 特に運動は、歩く機会が減っている上に、スマホやゲームの普及で外遊びが減少。姿勢の悪化なども影響しています。さらに、肥満や間違ったダイエットによるやせすぎ(低栄養)も要因とされています。

子どもロコモチェック
□片足立ち・・・5秒以上ふらつかずバランスをとっていられるか
□しゃがみこみ・・・かかとが上がらず、うしろに転ばないでできるか
□両手あげ・・・耳の横まで垂直に腕があがっているか
□体前屈・・・ヒザを伸ばしたまま指がラクに床につくか
★4項目のうち、1つでもできないものがあれば「子どもロコモ」の疑いがあり、しっかり対策を考えよう。

子どもたちの運動器の現状を教えてください。

残念ながらロコモチェックにある基本動作項目ができない子どもが急増しています。雑巾がけができない、前屈で手が床に届かないなどのバランス能力や柔軟性の低下、ボールをキャッチしたり投げたりできないなど反射神経の問題も指摘されています。

大きな理由の1つに体力低下があります。

令和3年度(2021年度)の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(スポーツ庁)
男子小中学生とも体力合計点が平成20年度の調査開始以来最低を更新。肥満の割合は、小学校男女と中学校男子が過去最高
出典:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/kodomo/zencyo/1411922_00003.html

体力低下の原因は、「外遊びの減少」「学習以外のスクリーンタイム(スマホゲームなど)の増加」「肥満」の3点が指摘されています。さらに、外遊びの減少については、公園でのボール使用や大声の禁止。習い事などで忙しく、遊ぶ時間や遊ぶ友達がいないという理由もあるようです。

「子どもコロナ」は子どもたちの将来にどのような影響がありますか?

体がうまく動かせないままでいるとスポーツが苦手になり、ますます身体能力が低下。肥満や生活習慣病のリスクが高まります。また、体ばかりか心の問題も心配です。生きる意欲や気力、人とのコミュニケーション能力の発達などにも影響を与えるといわれています。 さらには、中年期で要介護状態になる心配も出てきます。

どのような対策をとればよいでしょうか?

ねこ背やアゴだし、骨盤後継などがあればよい姿勢に改善し、遊びやスポーツで体を動かす時間を毎日作りましょう。生活習慣の影響も大きいので、早寝・早起き、バランスのよい食事を心がけることも重要です。家族で取り組むと、大人もロコモ対策となりメタボ予防にもなります。

5歳の体力は20年前の3歳と同じ。幼児期の運動発達は約2歳遅れている

幼児期から「子どもロコモ予防」は必要でしょうか?

子どもの体力低下を解決するためには、幼児期からの取り組みが重要です。

2007年と1985年の幼児(3~5歳)を対象にした基本動作7種目の発達度合い評価を比べた調査(※)では、およそ20年の比較で、年少児(3歳)と年長児(5歳)の体力が同等くらい。つまり、幼児期の運動発達は、昔に比べて約2歳遅れていると報告されています。 さらに、ここ数年のコロナ禍で差はもっと広がっているでしょう。

(※)出典:観察的評価法による幼児の基本的動作様式の発達

幼児期は、6歳までに大人の約8割程度までの神経機能が発達するといわれています。6歳までに運動習慣をつけることが、将来の体づくりに大きくかかわってきます。

運動習慣づくりのポイントは、楽しく体を動かす遊びを中心に行うこと。外遊びや散歩のほか、片付けや手伝いなど日常さまざまな動きを含めて「毎日合計60分以上」行うことを意識するといいでしょう。

さらに、幼児を対象とした研究によると外遊び、運動遊び、家族と遊ぶ頻度が高いと運動能力が高いことがわかっています。家族と一緒に楽しむことで子どもの運動意欲もUPします。

幼児期におすすめ!親子でできる基礎的な運動能力をつける遊び

フィットネスキャンプキッズ認定コーチ川人さんに親子でできる3つのおすすめ運動遊びを教えていただきました。パパやママの日ごろの運動不足解消やトレーニング、シェイプアップにもおすすめですよ!

★タオルかけっこ

タオルをしっぽのようにお尻につけて、子どもに取らせるおいかけっこ。子どもの年齢に合わせてしっぽの長さを調整して。走能力や敏捷性を伸ばします。つかまえる喜びや楽しさで夢中で走ります。

★動物歩き

動物歩きは楽しみながら運動神経を高めるだけではなく模倣力(まねる力)や想像力も養えます。特別な道具はいらず、体一つでできる運動遊び。クマ、ワニ、うさぎ、カエル、ラッコ、アザラシ、カニ、カンガルーなど。

★ミラー体操(まねっこあぞび)

子どもと向かい合い、親の動きをまねする遊び。手を腰にあてたり、体を左右に倒したり。親は大きく動き、時々フェイントを入れて。子どもはいろいろな動きを獲得できます。


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